【W week】〜先輩に学ぶ未来の描き方〜私が守る私の“カラダ” ダイジェスト版〈後編〉

2023.03.10

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3月8日の国際女性デーに合わせ、 “社会全体で女性と向き合い、知り、学ぶ1週間”と題し、3月2日(木)~8日(水)の期間に「W week」を開催しました。3月4日(土)・6日(月)・7日(火)には、様々な分野で活躍されているエキスパートをお招きした、オンラインセミナーを無料配信。多角的な視点から女性と社会を見つめるきっかけとなりました。

今回は、STEM(理系)分野で大学進学を目指す中学生/高校生女子への奨学助成金支援を行う山田進太郎D&I財団の特別協力のもと開催された、「〜先輩に学ぶ未来の描き方〜私が守る私の“からだ” 」をダイジェスト版でお届けします。

ゲストには、気象予報士・防災士の千種ゆり子さんと、婦人科医の岡田有香先生をお迎え。後編では、「プレコンセプションケア」をテーマに岡田有香先生にお話しいただき、自分自身のカラダを知ることの大切さについて考えます。かかりつけの婦人科をつくること、卵子の数と質、生理痛と不妊の関係など、10代〜20代の若い世代にこそ伝えたいこととは?

前編はこちら

 

プレコンセプションケアは、若い世代のためのヘルスケア

「プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら、女性やカップルがご自身の生活や健康に向き合うことです。より健康になること、また元気な赤ちゃんを授かるチャンスを増やすこと、将来的に女性やその家族がより健やかな生活を送ることを目指します」

 

 

13歳になったら、婦人科で受診を!

まずは、かかりつけの婦人科をつくることが重要とのこと。

「13歳から15歳で受診をしていただきたいです。今すぐじゃないけど将来子供が欲しいとか、いざ妊活となったときのリスクを避けたい、今からできるケアはしておきたいっていう方は、できる限りご自身のヘルスリテラシーを高めて、自分の体をケアできるようになってほしいと思います」

 

内診が不安……。でも大丈夫!問診だけでもできることがあります

生理が始まったら、かかりつけの婦人科をつくって欲しいと話す岡田先生。でも、「内診があるのでは?」と不安を感じたり、恐怖感を抱いている方も多いはず。

「内診は必ず行うものではありません。問診だけでもできることはありますし、結婚しなくても、妊娠する前でもやれることはたくさんあります。まずはどういったタイミングでどういうことをして体のケアをしていくかを知っていただきたいです」

 

 

現代女性の生理の回数は昔の9倍 ⁉︎ 

日本では、生理の症状による労働損失が4911億円、1年間の社会的負担が6828億円にまで膨らんでいます。※1 月経困難症を持つ人は400万人、PMSの症状がある人は600万人と言われていて、20代の女性の人数が500万人ということを踏まえると、その数の多さがわかります。

「現代の女性の生理の回数は450回ぐらいと言われています。100年前ぐらいの女性は50回から100回と言われていたので、多くて9倍ぐらいの数の生理を現代女性はこなしているんです」

そこには、生理が始まる時期が昔に比べて早まっていること、出産回数の減少という背景があるとのこと。

「今は30代までひたすら生理が来続けますし、20代はエストロゲンの分泌量もすごく多い時期です。現代の女性は、生理が来続けることで生理不順や子宮内膜症、子宮筋腫になりやすいと言われています」

 

 

生理周期を確認しましょう!

そもそも、生理はどれくらいの周期で来るものなのでしょうか。

「通常の生理周期は25〜38日です。短くても長くても、ご病気が背景にある可能性がありますので、2〜3周期その状態が続いたら、婦人科に来るサインです」

 

生理痛は、将来の不妊に関わることも

「月経困難症というのは、生理の時、あるいは生理の直前に始まる強い下腹部痛や腰痛などのことです。生理痛は無いことが普通なので、痛み止めを1錠でも飲んでいる場合は月経困難症です。毎月痛み止めを飲んでいる場合、まずは婦人科に来て月経困難症のご病気の背景がないかを診ていただくことが重要です」

 

月経困難症の背景には、子宮内膜症といわれる種類のものがあり、生理痛のある人の7割がこの背景を持っているそうです。

「検診で問題ないと言われていても、将来的にこの病気として出てくる可能性があります。子宮内膜症になった場合、不妊になるリスクも高くなり、30〜50%の方が不妊症になってしまうと言われています。一度なると一生完治することができないので、何とか進行を食い止めることが大事です」

 

PMSを知っていますか?

月経前症候群(PMS)という言葉を聞く機会が増えているようにも感じる昨今。悩みを抱えている方に向けて、「PMSの症状は、お薬じゃない方法でも緩和できる可能性があります。まずは、症状が出るタイミングや症状についての記録をしながら、婦人科に相談に来ていただきたいです」と、岡田先生は話します。

 

妊活のスタートは27歳まで? 4人に1人は不妊治療へ

「今の日本では、2人子供が欲しいという方の割合が高いです。それを自然妊娠によって90%達成できるのは、1人目の妊活を27歳までに開始した場合なんです※2

2020年の日本の平均出産年齢は、第1子の場合30.7歳なので、既にそのラインを超えています。※3

「実際、日本では“2人目不妊”といって、4組に1組は2人目の妊娠のときに不妊治療をしているのが現状です。もし2人子供が欲しいと考えた場合、将来的な不妊治療を含めても、31歳までに1人目の妊活をスタートすることが大事です」

 

 

あなたの卵子の質と量、妊活適齢期は?

「卵子には質と量という概念があって、生まれもった数から増えません。そして卵子の数や質は妊娠の力に直結します」

毎月体の中では、200〜1,000個の卵子がなくなっています。生まれる前に約700万個の卵子が作られますが、生まれた瞬間に約200万個にまで減少。思春期には20〜30万個に、閉経の頃にはゼロに近付くと言われているそうです。

 

「人によって閉経のタイミングは違いますが、千種ゆり子さんのように、20代で閉経される方は1000人に1人の割合でいらっしゃいます。30代で閉経される方は100人に1人ぐらいの割合だったのですが、ヨーロッパのデータで、今は100人に2~3人ほどに増えていると言われています」

閉経の平均年齢は50代のため、40代での閉経は早いと感じる方もいるかもしれませんが、早発閉経※4の診断にはならないそうです。

「閉経の約10年前までが妊活適齢期ということを考えると、42歳で閉経する人にとっては、32歳くらいまでが適齢期になります」

 

AMH検査を検討してみては?

身体に残された卵子の数の目安を検査できるのが、AMH検査※5です。

(AMH検査について紹介した過去記事はこちら私のたまごを知る!ライターmiyukiと一緒に「AMH検査」を受けてみた « eggweekから。)

「卵子は基本的に年齢に伴って減少しますが、自覚症状がないので、こういった血液検査などでしかわかりません。医学的には、できれば若いうちの妊娠出産を考えていただきたいとは思いますが、今の社会ではそれが難しいという方も多いと思います。だからこそまずは、かかりつけの婦人科をつくって受診していただければと思います」

そして、「出産しないこと、卵子凍結、不妊治療、養子縁組など、様々な選択肢を平等に選べることが大事だと思います」と、女性一人ひとりの選択を尊重する大切さを示しながら、締めくくりました。

 

 

映画を通して、楽しみながら知って欲しい“カラダ”のこと

千種さんは、「プレコンセプションケアが目指していることと同じ、“自分の体に目を向けることの大切さ”を、エンタメ作品として楽しみながらも知って欲しいという思いから映画制作をしています」と映画にかける思いを話します。

テーマは、“立ちはだかったのは「私」だった”。

「将来の夢を持ち、目標を立て、努力し続ける。 そんな日常が続く中で、時として 努力ではどうしようもない身体の壁にぶつかることがある。 悲しいけれども変えられないその事実が、突然降ってきたとき、 私たちは、どのように生きるのでしょうか」

 

全編はYouTubeで配信中!

セミナーの最後には、ご視聴いただいた方々から、リアルで切実な思いの込もったご質問が多く寄せられました。お二人の実体験や専門知識を元にした誠実なお答えに、多くの女性が勇気や希望をもらい、エンパワーメントされるはず!

現実的でありながらも、暖かさに満ちたアドバイスが満載のオンラインセミナー。全貌は、ぜひWsociety公式YouTubeチャンネル【W society】W week ≪DAY1≫ ~先輩に学ぶ未来の描き方~私が守る私の“からだ”をご覧ください!

ライター:miyuki

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