3月8日(火)の国際女性デーを目前に、3月5日(土)~3月8日(火)の4日間、女性と社会に“気づき”を与えるキャンペーン「W week」を開催し、3つの無料オンラインカンファレンスが行われました。その中から、3月6日(日)のカンファレンス「もっと話そう!子どもと「性」のこと。~寄り添うオトナの、最新「性教育」コミュニケーション~」をダイジェストにてご紹介します!
一般社団法人Woman‘s waysの潮田玲子さん、Bé-A Japan代表取締役CEOの山本未奈子さん、メディカルパートナーの行徳総合病院 婦人科医師 坂本愛子さんをゲストにお迎えしたオンラインカンファレンス「もっと話そう!子どもと「性」のこと。」後編では、「子どもへの性教育」について坂本愛子先生から子どもの年代別にレクチャー。親も子どもも恥ずかしさを感じる性教育について、パワフルにディスカッション。
セッション1:子どもの性教育、いつから何を教えるか?教えて坂本先生!
8歳頃までに教える事って何?
坂本先生
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が作成したセクシャリティー教育ガイダンス
があります。4つの年代に分かれていて、それぞれ教える項目が異なります。家庭で性教育をされる時は、こういった項目を意識しないで積極的に様々な事を伝えていけたらいいのではないかと思いますね。
「赤ちゃんってどうやってできるの?」という野島先生の本に丁寧に書いてあるのでぜひ、読んで欲しいですね。ちょっと紹介すると、3歳〜6歳の時というのは感動期と呼ばれている時期です。そういう時期に「赤ちゃんてこうしてできるのよ」と話をすると、「わーすごい!そうなってるんだー!」と、とても感動してくれます。
7歳〜9歳の時期は無反応期という時期で同じように赤ちゃんがどこから来るのか話しても「ふーん」という感じで無反応ですね(笑)。
10歳以上になると、キモウザ期という時期に入ります。性教育をすると「そんなの聞きたくない。ウザイ!」というような態度になりますね。思春期の中高生になると、ノーサンキュー期という時期に入ります。
どうしても、性的なサイトや本を見たりするんですよ。そういう時期に、こちら(親)から性について説明しようと子どもに近づくと「そんなの聞きたくない。ママ、何をテンパってるの?」みたいな感じであしらわれたりします(笑)。本当に冷やかな目で見られるんですね〜。
娘の友達が生理が無いって言っていたから気になっている、と私に話してくれたので、「それは婦人科を受診した方がいいよって伝えて」と伝えたのですが、「そんなこと友達に言えない」という返事が返ってきました。生理のことについては少しコミュニケーションが取れましたが、「性」のことについて話をしようとすると
「別に聞きたくない」という感じで、ブロックされるのですごく難しいなと感じましたね。
潮田さん
うちの子は4歳と6歳なので、ちょうどその感動期にあたるところです。この前娘に「どうやったらおなかの中に赤ちゃんは入るの?」と聞かれて、色んなことを疑問として聞いてくれるので、性教育に入るチャンスなのかな?と思っています。
坂本先生
チャンスですよね!私が性教育に使ったのは、たき れいさんが書いた「性の絵本」です。この本は、本当に淡白な感じで性交渉のことが説明されています。
この本から学べることは、性交渉についてももちろんなのですが、子どもが大人に狙われたり、プライベートパーツをカメラで撮ったり触ったりする人がいるんだよ、ということも書いてあるので、自分を守ることの大切さも教えることができるんです。とてもいい本だと思います。
さすがに、これを息子たちに初めて読ませた時は、眠れなくなるぐらいドキドキしちゃって。「あ〜言っちゃった!」みたいな感じでした。(笑)
でも、「そうなんだ、じゃあ自分のことを大事にしなくちゃねー」と感動してくれて。かと思ったら数日後には、保育園のお友達のお母さんから「お宅の息子さんが、うちの息子に何回やめてと言ってもカンチョーしてくる!」と言われて。「もう!体が大切だと教えたばかりなのに!」と思いました。
だから、6歳ぐらいまでの年齢の子は感動してくれるけど、その感動をすぐ忘れてしまうので実感が湧かないのだと思います。
日々繰り返し同じことを教えていかないとダメだという事に気づかされました。この一件以来、街中でちょっと性的な描写が目についたりすると、「日本の社会はこういう風に女性の体を見て笑いにしたり、商品みたいに扱ったりすることもあるから、女性の気持ちを考えない描写がすごく多いよね。だから真似っこしちゃいけないよ」といつも話をしています。
ちょうどこの間、小学2年生の息子が休校中に友達同士でZoomで話をしていたことがあり、一人の男の子が、パンツを脱いでおちんちんを見せたり、本で女の人のおっぱいを見せてきた事がありました。
息子は、「僕は見たくなかったから下を向いていたよ」って報告してくれたんですが、多分私が性の描写について普段から「ダメダメ」とうるさく言っているから、「これは、いけない事なんだ」と認識して、私に伝えてくれたと思います。
もし、何も教えていなければ、その男の子たちと同じように、おちんちんを出したりして遊んでいたのかもしれないです。
だから、常日頃からちょっとした時に、「これはダメだよね?」とうるさいぐらいに言わないと子どもに伝わらないと実感しましたね。
潮田さん
一度言っても伝わらないって事ですよね〜。
坂本先生
子どもたちに対して、大人が性的に興味がある場合(犯罪)もあるということも伝えていきたいですね。
9歳〜12歳への性教育とは?
坂本先生
私の経験上ですが、小学校高学年になってくると必ず性的な本を持ってくる子がいます。長女の時も次女の時も、5年生の時そのような子がいましたね。タレントのりゅうちぇるさんも仰っていましたが、ほとんどの子が小学校のうちに性体験が済んでいたとか。地域によっては小学校後半で実際の性行為の経験があると言われています。だから、この年齢になったら本やサイトを見てある程度知っていますから、親から積極的に性行為についても伝えて良い時期ですね。
そうする事によって、何か迷った時、困った時にママに相談していいんだ、と子どもが思うんです。性教育をいきなり「性行為」のことから伝え始めるのは本当に難しいので、絵本などを使って伝えるのがいいのではないか?と思っています。
谷村
先ほどの書籍によると、この年代はノーサンキュー期ですよね?
坂本先生
そうですね。冷たい反応をするわけではないけれど、すごく興味が湧いているように思われたら恥ずかしいみたいな感じだと思います。
潮田さん
本当は色んなことに興味津々なのに、というころですよね。
谷村
親と子の両者が気まずいような感じになる年頃ですよね?
坂本先生
この間、NHKで、性の絵本を実際に家で見ている子どもの過程をドキュメントで放送していました。おそらく、去年の放送だったと思います。
小学校4年生くらいの男の子が、本を見ながら「へー、僕もちょっとしたら白い液が出たりするの?」という反応で。生理で汚れたパンツもそうですが、男女問わず自分で汚れたらパンツを洗うというトレーニングをするのが良いと言われています。
女の子も男の子も、パンツを汚すと親に言わないで捨ててしまうらしいんですよね。だから、パンツを洗うことを通じて、コミュニケーションを取っていくのもいいのかな?と感じますね。
12歳から15歳の性教育とは?
坂本先生
この時期は、検査薬で妊娠を確認することができる、妊娠によって生理が止まる、ということを知らない子もいるので、この辺りを教えてあげたり、妊娠すると気持ちが悪くなったり体調が悪くなるんだという事を教えてあげるといいと思いますね。
子どもの方からの反応が少なくなる時期でもあるので、街で妊婦さんを見た時に、「あの人達もちょっと前まで体調の悪い時期があったのかな?」とか、親の方から子どもに積極的に話をしていく感じですね。
子どもが大きくなってくると、親も性について教えることが恥ずかしかったりもするので、性に関する本をこっそりトイレに置いておくのがいいですよ。
トイレは個室なので親に知られることがなく自分のペースで読めるのがいいみたいです。あと、「セイシル」「ピルコン」というサイトがあるので、「こんなサイトがあるよ」とリンクを送るとか(笑)。タレントのSHELLYさんも「SHELLYのお風呂場」というYouTube配信をしているので、こちらのリンクを送ってあげるのもいいですよね!
16歳以上への性教育とは?
坂本先生
もう、この年代になると人権の問題になりますよね。
日本の社会問題の話になってしまうのですが、中高生以降の男の子達はマウントを取るようになりますよね。「俺、あの子とやっちまったぜ」みたいな。
女性と体の関係を持つことが、ひとつのステータスみたいな感じになっています。童貞の子をからかうとか、そういう文化になりがちですよね。
女の子との「性的同意」がとても大事だよという事を積極的に伝えていかなくちゃいけないと思います。そして、コンドームを使うことの大切さも伝えなければなりません。コンドームを使用することこそが、相手のこと、自分のことをちゃんと考えている(守っている)証拠ですので、「ちゃんとコンドームを使ってね」ということを、親が子どもにきちんと教えなければならないですよね。
うちの娘たちはコンドームの話を聞いてくれないので、コンドームは大事!という性教育の日めくりカレンダーをトイレに貼っています(笑)。見ているのかどうか分からないですけど、大事なことなのでね。
潮田さん
絶対に見ていますよね!
坂本先生
生理はコントロールできる時代ですので、特に10代の子はピルを飲んで妊娠を予防して、さらに性感染症の予防にコンドームを使って、ダブル使いをして自分自身を守って欲しいですね。ピルは処方が必要なので、難しければせめてコンドームは必ず使うようにして欲しいです。相手の気持ちが大事ということを教えてあげたいですよね。
山本さん
私の娘は9歳なのですが、その娘に対して性教育を最初から行いたいと思っています。どういうステップで教えたらいいでしょうか?
坂本先生
小学生向けの性教育の本で「ロケットボーイズ少年」、「ポップコーンエンジェル」と言う性教育の漫画があります。さっきの作戦じゃないですが、トイレに置くというのがいいかなと思いますよ。
山本さん
ポップコーン天使ですね!
坂本先生
そう。うちの小学2年生の息子がやたら読み込んでいて。気がついたらいつも読んでいましたよ。
山本さん
知ってます、この本?「おちんちん」の不思議って書いてあります。この「おちんちん」のワードだけでも、すぐに手に取ってくれそうです!
坂本先生
そうですよね。惹きつけるイラストやワードがないと手に取ってくれないと思うので、ちょっと子ども達の興味関心があるものがいいですよね。
潮田さん、山本さん
すぐ買います。ここにある本を全部揃えてトイレに置いておきたいと思います〜!
潮田さん
本とか漫画とか、その年代に合わせてチョイスしていくというのは、すごく大事ですよね。
坂本先生
それも性教育に関する、情報の一つですよね。あと命に育てると書いて「命育(めいいく)」というサイトがあります。どちらかというと親向けの性教育のサイトで、どういう風に子どもに性教育を伝えたらいいのか?という事が年齢ごとに分かれて説明されていますので、親御さんにオススメのサイトですよ!ぜひ見てください!
子どもの年代にあった性教育とは?このテーマにフォーカスした「もっと話そう!子どもと「性」のこと。~寄り添うオトナの、最新「性教育」コミュニケーション~」のカンファレンス本編はW society公式YouTubeチャンネルをご覧ください。
親も子も恥ずかしさを感じてしまう性教育を楽しく正確に伝えるためのコツを坂本さんがレクチャー。ぜひチェックしてみてください!